【2023年最新版】医師開業手順と流れ

医師にとって、開業はキャリアの新たなステージへの挑戦と成長の機会を与えてくれます。

また、多くの医師が、さまざまな動機や背景から開業を選択することがありますが、開業するにはどうすれば良いのかわからない方も多いと思います。

そこで、ここでは、医師の開業手順について詳しく解説をしていきます。 

【医師向け】病院・クリニック開業に向けた準備

病院やクリニックの開業は、医師にとって重要な一歩であり、慎重な計画と準備が必要です。
しっかりとした計画を立てることで、スムーズな開業と持続的な成長を実現できます。
ここからは 病院・クリニックの開業を成功させるための準備のポイントをご紹介します。

開業に向けた計画をたてる

最初に、開業のビジョンや長期的な目標を明確にしていきます。

  • 医療サービスの提供形態
  • 開業資金
  • 医療チームの検討
  • ターゲットとなる患者 など

どのような医療サービスを提供したいのか、どの患者層に焦点を当てるのかを考えましょう。
また、開業には資金が必要です。開業資金の見積もりや、設備購入、スタッフの給与、広告費などの費用を計画し、資金調達方法を検討します。
医療チームの構築も考える必要があります。必要なスタッフを採用し、役割を明確にすることで、効率的な医療提供が可能になります。
スタッフのトレーニングや研修にも充分な時間を確保していかなくてはいけません。

必要な資格や認可の取得について

病院やクリニックを開業するには、以下の法的な手続きと適切な資格・認可の取得が不可欠です。

  • 診療所届出
  • 医療法人の設立
  • 医療機関の認可
  • 医療保険の契約
  • 個人事業開業届

医師が開業するには多くの手続きと準備をしていく必要があります。
一人で行うにはとても時間や労力がかかるため開業を専門にしている方に相談しながら進めていくことも検討してみてはいかがでしょうか。
事前に適切な情報を収集し、法的な要件を確認することが大切です。スムーズな開業のために、しっかりとした準備を行いましょう。

オフィスや設備の選定をする

病院やクリニックの開業に際して、適切なオフィスや設備の選定は重要なステップです。
患者の快適性と安全性を確保できるように以下を考慮しながら選定をしていきましょう。

  • 場所の選定をする
  • 設備の配置を決める
  • 診察室のデザインを考える
  • 待合室や受付エリアを考える
  • バリアフリー対応をする

オフィスやクリニックの場所は、アクセスの良さや患者の利便性を考慮して選ぶと良いでしょう。
交通アクセスや駐車場の有無、周辺環境などを検討しましょう。
設備の配置は効率的な医療を提供するのに検討が必要です。医療機器や設備の配置を検討し、患者と医療スタッフの動線を考えて検討してみてください。
診療室や待合室、受付エリアのデザインは患者の印象を左右します。
快適な環境を提供するために、明るさや清潔感、プライバシーを考慮したデザインを選びましょう。

【医師向け】法人設立や税金の申告

医師が病院やクリニックを開業する際、法人形態を選択することが一般的です。
法人形態には、医療法人、合同会社、株式会社などがあります。法人設立のメリットは、個人の責任を制限すること、資金調達のしやすさ、税制上の優遇などが挙げられます。
法人設立をした場合には以下の税金を収める必要があります。

  • 法人税:15%~23.2%
  • 所得税:課税所得800万円以下の場合:18%、800万円以上の場合:30%
  • 事業税:所得の3~5%

税理士や会計士のサポートを受けながら、適切な手続きと申告を行い、スムーズな開業と運営を目指しましょう。

開業のメリット

開業には多くのメリットがありますが、ここでは以下の3つについてご紹介します。

医療サービスのカスタマイズができる

医師が開業する1つ目のメリットは、医療サービスのカスタマイズが可能であることです。
自身の専門分野や関心を反映した治療法を提供することで、患者のニーズに合ったケアを実現できます。
一人ひとりに合わせたアプローチにより、患者の満足度を高め、信頼を築くことができるでしょう。

柔軟なスケジュールを設定できる

医師が開業する2つ目のメリットは、自身のスケジュールを柔軟に調整することができることです。
家庭やプライベートな時間を大切にしながら、効果的な診療スケジュールを組むことができます。
これにより、仕事と生活のバランスを取りながら、より健康で充実した日々を送ることができるでしょう。

収入が増加する

医師が開業する3つ目のメリットは開業に成功することで、医師の収入を増加させるチャンスが広がります。
中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査報告」によると医療法人や大学病院で働く勤務医と開業医の平均年収は以下のようになります。

  • 勤務医:1,445万円
  • 開業医:1,705万円

開業医の方がおおよそ260万円ほど高い年収となっています。
第23回医療経済実態調査報告

自身のクリニックや病院を経営することで、患者数や提供するサービスに応じて収入を拡大することができます。
また、経営の効率化や効果的なマーケティング戦略を通じて、収入の安定化も実現できるでしょう。

開業のデメリット

開業には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは以下の3つについてご紹介します。

経営責任とリスクがある

1つ目のデメリットが経営責任とリスクがあることです。
開業医は医療提供だけでなく、事業の経営も行う必要があります。経営責任を持つことで、事業の成功や失敗に直接的な影響を与える可能性があります。
経営に関する知識やスキルが不足している場合、経営的なリスクを正しく評価し対処することが難しいこともあります。

自分以外に代わりがいない

2つ目のデメリットは自分以外に代わりがいないことです。
開業医は、自身のクリニックや病院を運営するため、代わりがいないという課題に直面することがあります。
休暇や病気の際にも診療の継続が難しい場合があり、その間の患者ケアに対する対応策が求められます。

業務量が増える

3つ目のデメリットは業務量が増えることです。
開業は、医師の業務量が増えることを意味します。医療提供だけでなく、経営業務やスタッフの管理、財務管理など多岐にわたる業務に対応する必要があります。
これにより、働く時間が増え、仕事とプライベートのバランスが難しくなる可能性があります。

まとめ

開業は挑戦的な一歩ですが、確実な計画と専門家のアドバイスを受けながら進めることで、新たな医療を提供する準備ができます。

患者の健康と満足度を最優先に考えながら、開業手続きを進めていきましょう。